こんにちは、アヤトです。
今から約2年前に起こった、女優・春名風花さんにSNSでの誹謗中傷に決着がつきました。
ここ最近も特に、SNS上での誹謗中傷が大きく取り上げられ、
「インターネットは匿名でも、特定されないわけではない」
ということを誰もが知っておかなければならないのではないか、
と思いました。
今回はネット中傷について
- ネット中傷は何罪?
- 裁判や示談金はどのくらいかかる?
- 春名風花の判例は?
について調べてみました。
ネット中傷は何罪にあたる?
インターネットで誹謗中傷をするとどんな罪にあたるのか、調べてみました。
まず、訴訟の種類は2つありまして
- 刑事訴訟
- 民事訴訟
に分けられます。
刑事訴訟は懲罰・罰金など、身体や財産に直接的な罰を与えることができます。
刑法では「誹謗中傷の内容が事実かどうか」によって
まずは2つの罪を考えることができそうです。
- 名誉毀損罪…公然と事実を示し(摘示し)、人の名誉を毀損したものは、その事実の有無にかかわらず3年以下の懲役か50万円以下の罰金に処する。「俳優Aは薬物を使用している」という嘘でも
事実ではありませんが不特定多数が見ることのできるSNS上で特定の人の名誉を傷つけた場合、名誉毀損に当たる可能性があります。 - 侮辱罪…事実を示していなくても、公然と人を侮辱したものは勾留または科料(1万円以下の罰金)に処する。SNS上で「バカ」、「アホ」などの書き込みをされた場合、事実を言っていないので、名誉毀損罪には当たらず、侮辱罪が適用されます。
この他にも、仕事に支障が出るようなものがあれば「業務妨害罪」、
強い言葉で脅すようなコメントには「脅迫罪」、「強要罪」などに問われる可能性もあります。
次に民事訴訟です。
民事では「違法」と判断された場合、「〜罪」という罪名はつきません。しかし、投稿されたコメントを削除する義務と賠償責任を負う可能性があります。
民事では皆さんがよく耳にする「表現と自由」の関係で、批判的な意見にも慎重にならなければならないそうです。
そこで、我慢するべき限度・「受忍限度」という言葉が出てくるのですが、ある一定を超えない限りは我慢するべき、という考え方がなされています。
では、ある一定とは?
- 人の社会的評価を下げるような発言
- 人格を否定するような発言
こういった投稿は「表現の自由」で保護する必要性が低く、我慢するべき限界(受忍限度)を越えると判断されます。
裁判や示談金はどのくらいかかる?
裁判の期間や示談になった際の金額はどの程度なのでしょうか?
複数法律相談サイトで調べてみたところ、誹謗中傷のコメントを書いた投稿者を特定するのにも1年弱の期間が必要です。
例えば現場がツイッターだった場合、ツイッター・ジャパン株式会社に対し
「このコメントをした人は誰なのか?」、投稿者の氏名や住所を特定するため
「発信者情報開示請求」という手続きを取らなくてはなりません。
なんだか話が小難しくなってきましたね!
投稿者を特定してコメントを消してもらう流れとしては
- 運営会社に投稿者のIPアドレスなどの情報を開示(見せてもらう)
- 投稿者が中傷コメントを書くのに使ったプロバイダー(フレッツ光やWiMAXなど)を特定する
- 裁判所からプロバイダーに対して記録の消去を禁止する命令が出される
- プロバイダーから契約者の氏名や住所を開示してもらい、投稿者を特定する
ざっくり書くとこのような流れですが、非常に煩雑で、専門の弁護士さんもいるほどなんだそうです。
この1から4に至るまで、何度も小さな裁判を起こさなければならないんだそうで、
これは見ただけで結構時間がかかることがわかります。
実際、春名風花さんの例でも示談成立までに2年もかかっているということですが、
現状、通常でこのくらいの期間がかかるんだということがわかりました。
出典:https://00m.in/lyYhY, https://00m.in/lb28D, https://00m.in/yKzEz
では次に、示談になった場合、どのくらいの金額になるのか?についても調べてみました。
実は投稿者を一人特定するだけでも約100万円ほどのお金がかかります。
裁判を起こしたり、弁護士に依頼する費用はこの他にかかることになります。
調べてみたところ、示談金や慰謝料といった裁判を通さずに発生するお金には相場がありました。
- 一般人への名誉毀損…10万円〜50万円
- 事業者や芸能人への名誉毀損…50万円〜200万円
- 侮辱による慰謝料…10万円〜50万円
事業者や芸能人は社会に与える影響が非常に大きいとのことで金額は高い傾向にあるようです。
また、この金額はあくまで目安のひとつに過ぎません。
削除依頼や投稿者の特定にかかる費用も慰謝料に含めることができるそうなので、
「自分は一般人だから半分の50万円は自分持ちか…」
と不安に思う前にインターネット中傷に強い弁護士に相談してみると良いでしょう。
春名風花の判例はどうなった?
女優・春名風花さんがSNSで受けた誹謗中傷は7月20日、示談という結果で裁判が終わりました。
春名風花さんは約2年前、「彼女の両親自体が失敗作」「名誉男性」などと
誹謗中傷され、裁判を起こしていました。
初めは判例を残すために裁判で判決を出し、罪を問う形にしようと考えていましたが、
現行法では非常に軽微な罰で終わるため、担当弁護士の方から
「投稿者は春風さんにお金を支払い続けることでしか自分が悪いことをしたと認識できないのかもしれない」
というアドバイスを受け、示談を成立させました。
示談金は315万4000円。春名さんのコメントによると、
これだけ慰謝料を回収できたのは、とても凄いことなんだそうです。
お久しぶりです!終わった…終わったよ!詳しくは動画をみてください
はじめての裁判でこれだけの慰謝料を回収できたのは、とても凄いことだそうです☺️🌸✨ https://t.co/8rIHzbHim7
— 春名風花 official (@harukazechan) July 19, 2020
何度も示談が決裂し、長い時間をかけてやっと得られた結果。
動画内では「誰に狙われているのかわからない状態」から
「自分を攻撃しているのはこの人だ」と分かったことは
とても大きなことだと話していました。
まとめ
今回は示談が成立した春名風花さんのインターネット中傷について調べてみました。
- 罪は名誉毀損罪・侮辱罪にあたる
名誉毀損は3年以下の懲役または50万円以下の罰金
侮辱罪は勾留または1万円以下の過料 - サイト運営社やプロバイダに対し何度も裁判をする必要があるため、非常に時間がかかる
- 示談金は一般人で10万円〜50万円、
事業者・芸能人で50万円〜200万円が相場 - 春名風花の判例は最終的に告訴取下げを行った
示談が成立し、慰謝料は325万4000円
裁判のきっかけとなった誹謗中傷コメントがぶつけられたのは
約2年前、春名風花さんがまだ高校生の頃でした。
SNSで人を攻撃することによって起こる痛ましい出来事は
皆さんも記憶に新しいでしょう。
調べているうちに、こうした誹謗中傷コメントをぶつける本人たちは
主婦や会社員などごく普通の方々で、自分たちの生活の憂さを晴らすためなど
軽い気持ちでやってしまうんだそうです。
苦しくて追い詰められて、人生を閉じてしまおうを考える人が
いなくなるよう、「表現の自由」を超える言葉に制限をかけたりできないのかな
と思いました。
現行法では本当に軽微な罰で終わってしまうために示談を受け入れたという春名さんの言葉も
あるように、法律も状況が改善されるように願っていますし
「言葉」の重さにも目を向けられる人々が増えていって欲しい、と思いました。
もし読んでくださる皆さんご自身のSNSやブログなどにひどい書き込みが
あった場合、情報を保管している期間が短い場合があるそうなので、
早めに弁護士に相談することをお勧めします。
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